037 吹
吹く風の涼しくあれと願いつつ8月尽の今日38度
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吹く風の涼しくあれと願いつつ8月尽の今日38度
昭和から平成、令和ああ面倒な西暦とおせし鴎外おもう
スーパーに一190円の初秋刀魚アルミ箔使ってフライパンで焼く
オレンジか金木犀か迷ってるデイスカウントの芳香剤売り場
青山に育ちて渋谷駅スクランブル交差点など無縁という人
冷凍品ふえしキッチン包丁より鋏の出番おおきわれなり
泊りがけで祖父母の家に行きしこと夏休みの遠い思い出
歯の弱気われには嬉し頬肉の赤ワイン煮のくずれかげんが
宝塚のプラチナチケットおお当りいざ観に行かんこの炎天下
不平不満いえばきりなきことなれど猛暑の中に身もだえをする
図書館に『サーベルと燕』拾い読み軽さのうちに重たき人世
来しかたも行く末も茫漠としてたしかなるは今日の夕飯
涙腺はいつも乾いて一粒の涙をこぼした遠い思い出
戦争は決して起こしてならないと八十年誓いてきしが
いつ迄も敗戦国の反省か8月の6日9日15日
老後資金不足分を捻じりだす名案ありや今日も浪費す
トラブルはゴミの捨て方アパートのゴミ置き場を勝手に理容
里芋と烏賊の煮物をきらってた夫なりしか夕餉に食べる
手にとるなど叶わぬなれど陳列棚五百万円のケリーやバーキン
広島のつぎは長崎このつぎは八十年後も核におののく
二の腕をつまめばただぐんにゃりと弾けんばかりの若き日いずこ
両膝に湿布を貼ってそろそろと痛みこらえつつコンビニへ行く
アクセスは乗り換え三つ宝塚この炎天をはるばると行く
湯上りに爪を切りおり夜の爪は切ってならぬと曾祖母言いしが
井戸端に西瓜トマトを冷やしたるかの夏よりも気温上昇
交渉が苦手なわれは言いなりにたまったストレスどこへ捨てるか
午後九時に沈みゆく月まっ赤か寝苦しき夜はまだまだつづく
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