恩師
「わたしは恩師っていないけど、あなたいるの」と友人からいきなり聞かれ、
「「いるにはいるけど」とババはあいまいな返事。一人は小学校のときの先生。
いま思うと、女学校出たての若い先生だった。一年生から四年生まで同じ。
母子家庭だったババのことを何かと気遣ってくれた。四年生半ばで東京へ
引っ越すことになり、その折先生の家を訪問した。そこで手作りのアイスキャンデー
をご馳走になった。さらにたしかシラー作と思うが「オルレアンの少女」という
ジャンヌダルクの伝記本を頂いた。その本はずいぶん長い間、繰り返し読んだが、
その後、就職、結婚など転居を繰り返し、いつの間か無くなってしまった。
ただ年賀状は先生が亡くなるまで続けていた。
もう一人は子育てが終わって、公民館の古典講座で知り合った先生。その方とは
三十年近くご縁があった。講義の合間に先生が話された詩歌の数々。その思い出が
いま一人暮らしになったババの心を支えてくれる。
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