085:化石(原田 町)
核のゴミ化石となりて存在か二十万年後の日本の山河
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核のゴミ化石となりて存在か二十万年後の日本の山河
錦町ビルの小さきスペースに事務所を持ちて子は独立す
へらず口憎まれ口を叩いてもきみはヘラヘラ目尻をさげて
「佳子さま」の見出しにつられ週刊誌ひろい読みするパーマの合い間
思い出の朝は御付けに香のもの納豆売りの声も聞こえし
「核のごみ持ち込ませない」を標語とし選挙カー行く市議選近し
友よりの一筆箋にベートーベン「第九」参加の記念品とぞ
たっぷりとタルタルソースをかけて食す鯵や帆立のフライに未練
父征きて七十年余の歳月が勲八等の徽章も褪せぬ
プレハブの校舎に通いき出生児二百万の中の吾子たち
「省エネのため十秒お待ちください」のATMに気短かわれは
擦り傷には唾液をつけてお呪いちちんぷいぷい痛いの飛んでけ
会場係り仰せつかって机椅子ならべたれども聴衆少なし
捨てたきもの諸々ありてもそのままに長梅雨の日を家に籠れり
十年来パン粉つかいしこと無きよ夫とわれの夕食準備
図書館に借りるかブックオフで買う本代ケチる暮らしとなりぬ
鉄や銅も供出されし時ありと明け六つの鐘ベッドに聴きつつ
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