075:良(原田 町)
夫には良人という文字あるを忘れていたり古妻われは
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夫には良人という文字あるを忘れていたり古妻われは
ワルツよりジルバやチャチャチャ過ぎし日の青年館は熱気にあふれ
歴史的大敗という見出し記事また読まされて無気力の夏
わが庭のたった一本の山椒の木アゲハは多くの卵産みたり
得意げにラタトイユなんて言ってるが残り野菜を始末の料理
猛暑日の続けば今年の梨や柿さぞ甘かろう楽しみに待つ
ライバル視するはわれの気負いにてしょせん敵わぬ彼の人の歌
祭壇の従兄弟はすっかり禿頭に生きて会わざる歳月無念
暗闇にスカイツリーのきらめくをしばし見上げる通夜の帰り路
卓上をきれいさっぱり片付けて探しものをかえって増やす
マエケンの投球術にきりきり舞いきみの阪神また無得点
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