054:戯(原田 町)
ラシーヌの戯曲が好きと答へれば原語で読みしか反問されて
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ラシーヌの戯曲が好きと答へれば原語で読みしか反問されて
この先はぽかんと開いた穴だらけ用心しても何時かは陥る
今そこに置いた筈が無くなって爺婆うろうろ毎度のことで
携帯の番号替へしの電話あり息子の声と信ずるあはや
嫁ぎゆく娘「紅」をうたひたる河野裕子は命の虹よ
肝臓に袋あるとの診断よたぷたぷ腹はまさかその所為
墓石の下の窪みがわが来世小さき骨のカタカタ鳴るや
レジ前に栗蒸羊羹ならべたるコンビニわれはひしと堪へて
すかんぽの茎を噛みつつじゃんけんぽん負ければ鬼よ土手道駆けろ
「群れず慣れず頼らず」がモットーと九十越えし堀文子はや
ペットボトルいまだ並べし家ありて猫年のわれ足早に過ぐ
筍のぶ厚き皮を剥がしゆく梅干つつみ吸ひたる幼時
「金持ちか」教授に問はれ学者への道あきらめし従弟をりたり
鉛筆や消しゴムつかひ歌作る頃もありしとキーボード打つ
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