015:型(原田 町)
型録の香典返し頂けばあれこれ迷う俗世のわれは
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型録の香典返し頂けばあれこれ迷う俗世のわれは
好き嫌い言えず食べてたあの頃の煮凝りという不可思議な味
カタカナの旧姓にて遠き日の年金記録いま届きたり
麓まで到達するも夢の夢キリマンジャロの写真に見入る
嫉妬おぼえし才ある人のはや逝きて凡庸われが遅々と生きおり
一本松とう街の名かつてありしこと麻布十番ゆきつつ思う
ふわふわに煮えしそのとき食べたしと思えど半ぺんすぐに萎みぬ
三歳の祝いにつけし函迫の金の飾りが何故か記憶に
コーヒーのお代わり自由この店のランチタイムはいつも混んでる
色かたち微妙に異なる水玉のスカーフを選るあすは晴れの日
調子に変わりないかと聞かれ別にと答えればわが診察は二分で終わる
立春のひだまりのなか一匹の花虻いるを見ておりしばし
助六や恵方巻など用意して節分の夜は鬼と遊ぼう
新宿のデパートで「黄金の茶室」なるものを拝見。
秀吉が大阪城で造らせたものを、忠実に再現したとか。
漆塗りの上に金箔を張る、という工程で費用も3億以上かかったそうだ。
茶道具もすべて金細工でまばゆいばかり。ただ床に活けられた椿の
花が萎れかかっていたのと、その花活けがなぜか金製で無かった。
ジジは同じ会場に売られていた金のしゃぶしゃぶ鍋が気にいった様子。
「これで、極上の松坂牛を食べてみたい」などと太閤気分。
「2100万円だって」ゼロを数えてババは驚きの声。
ちなみに、かの茶室も売りに出ているとか。
一日の終わりに飲みぬひとつぶの錠剤われを眠らせたまえ
あやしても笑わぬ児よと嘆きおり世の中そうそう甘くはないよ
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