089:こころ
ぢりぢりとしづこころなく鳴く蝉よお前もわれもなにを急ぐか
(わが家の周囲がすっかり変わって、蝉の声も少なくなっているようです。共生というのは難しい時代でしょうか。まあ、薮蚊がめっきり減ったのはありがたいですが)
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ぢりぢりとしづこころなく鳴く蝉よお前もわれもなにを急ぐか
(わが家の周囲がすっかり変わって、蝉の声も少なくなっているようです。共生というのは難しい時代でしょうか。まあ、薮蚊がめっきり減ったのはありがたいですが)
植物の暗闘ひそかわが庭のもぢずり草は消えてしまひぬ
(狭い庭だが、一番元気が良いのはアフリカ原産という大輪のマツバボタン。太い茎を縦横に伸ばしている様子はまるでヒトデみたい。モジズリソウもジュウニヒトエもいつか消えてしまった。ところでモジズリソウは捻り花ともいうそうだが、この花から百人一首に由来するという「忍ぶ文字摺り染め」を連想するのは難しい気がする)
とりあへずガムテープ貼り言ひわけは後でゆつくり考へませう
(物事も、人間関係でも、とりあえずの気持ちでいる今日この頃です)
(石をもて追はるるごとく)啄木のふるさとの山と姫神あふぐ
(去春、東北道を走っているとき、バスガイドさんから姫神山を教えられました。反対側の岩手山がごつごつした山容に対して姫神山は優美な曲線の山でした。その麓が啄木の故郷と聞き、いっそう心惹かれました)
きざし無く突然おこる災難よ脆き地表にわれら生きをり
(私の今週の運勢は「感謝の時。何事にも感謝を忘れずに」です)
退屈でも平穏無事を願ふ日に地震台風とめどもあらず
(天災は忘れた頃に......、どころか次々と襲ってきます。いま、自分自身が無事でいるほうが、奇跡なのかもと考えてしまいます)
捧げ筒!父の受けたる号令のいまも残るや御魂祭りに
(もうすぐ、8月15日。不戦をただ祈るのみです)
サイレンの突然ひびく夜明け前テロかミサイル夢かうつつか
(空襲を体験した友人は「爆音」という言葉を聞くのも嫌やだと言います)
露霜の消したき言葉いくたびも零れ落ちたるわが口あはれ
(かのイエス様も口に入るものより、出るものに気をつけるように、説かれたとか。凡人である私はついつい言わでもがなのことを言ってしまい、露霜のように早く消したいと願うばかりです)
家々の建ちこみくれば電線の間に富士のわづかに見ゆる
(わが家から、富士山が見えるのは冬のよく晴れた朝。一階の茶の間、二階のベランダ、そして今は屋上と見える場所が変わってきた。周りにもっと高いものが建つと、そこからも見えなくなるかもしれないが)
塔婆料管理費郵便振込みで故郷の菩提寺しばらく行かぬ
(訳あって、縁遠くなっている、父方の菩提寺を訪ねたことがあった。そこはすでに墓地と小さなお堂が残っているだけの無住寺になっていた)
メノポーシス(閉経)の海こぎゆけば骨粗鬆症の大波がくる
(骨粗鬆症だけでなく、総コレステロール値があがったりとか、ホルモンのバランスが崩れるのか、いろいろ故障が出てきます)
内視鏡写真にはじめてわが見るは大腸といふ赤きトンネル
(ひょんなことから、大腸の内視鏡検査を受けることになった。自分が腔腸動物になったような気分)
政治家のしようがなかつたの発言にまぶたを閉じて見過ごすわれか
(もう、何十年も前になりますが「やむをえなかった」という主旨の発言をされた雲上人がおられたとか)
鳥葬か風葬もよしと思ふ日のチヨツトコイとぞ小綬鶏の鳴く
(今朝は寝坊したばかりにホトトギスの声を聞きそこねてしまった。うーんいい声だった、とジジの満足そうなつぶやき。江戸川土手まで散歩した隣人はカッコウの声を堪能したとのこと。やはり、早起きは三文の得なのかな)
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