悪漢
私が読んだクリスティの作品のほとんどは、探偵役と犯人との知恵比べで、最後は探偵の勝ち。ただ『茶色の服を着た男』のサー・ユースタス・ペドラーと『なぜ、エバンスに頼まなかったか?』のロジヤー・バッシントン-フレンチの二人はまんまと逃げおおせている。
作中、ヒロインに「魅力的な男性」と言わせているのは、彼らが別に美男子というわけでなく(サー・ユースタスは太った老人)、ユーモアのセンスがあるからだろう、と思う。
今、勉強している古文書テキストにも、したい放題の悪人の一味が登場する。庄屋の次男坊というロジャーと同じような境遇。やっと捕まえても言葉巧みに牢番を騙して、逃げてしまい行方知れずというのも、似たような展開。 ひどい男と思いながら、解読してゆくうちに、何故か痛快になってくる。
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