095:誤(原田 町)
判断をつねに誤るわれなると積乱雲の空を見ており
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判断をつねに誤るわれなると積乱雲の空を見ており
わが歌は気分によりて変わりゆく不易流行おこがましくて
巧みなる罠に落ちたる心地して夏の終わりをじりじりといる
苔むした大門坂をいくたびか滑りころんでの熊野詣でよ
遠き日のおやつがわりの砂糖黍いまや糖分ひかえの日々で
薫より匂に惹かれる浮舟の女心よ雪の宇治山
最初から無理とわかっていたならばツクツク欲しいと鳴かずにすんだ
銀河系オリオン腕に乗かって冥王星は仲間はずれに
ツン読になってしまった『朗読者』ページをひらく気持ちも失せて
いつまでもメイドがわりに母親を使っているのわがパラサイト
富士の字を屋号にいただくわが家業そろそろ幕を降ろす時かも
老人の世帯ばかり増えゆきて二十世紀梨の薄紙ほどく
朝な朝な仏壇拝む過去帳と未来帳とのはざまにありて
整然と参拝の意義かたりおり兵たることの無かりしひとよ
窓硝子に稲妻はしりレバノの流血いまだやまずと聞けり
(とりあえず、停戦になったようです。でも日本の空襲はこんなものではなかった)
立秋の風に吹かれてと口ずさむ八木重吉の詩(うた)の響きを
(国道6号東葛高校傍に八木重吉の「原っぱ」の詩碑が建っています。高校には秋瞳館という、やはり重吉の詩から取られた建物があります。昭和の始め重吉はここで英語の教師をしていたそうです)
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