031;寂
静寂を破らぬように青鷺に双眼鏡のピント合わせる
(鵜はせわしなく水に潜ったり出たりしますが、青鷺や白鷺は水辺をじっと睨んだまま動かずにいます。そそ姿に孤高を感じたりもしています)
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静寂を破らぬように青鷺に双眼鏡のピント合わせる
(鵜はせわしなく水に潜ったり出たりしますが、青鷺や白鷺は水辺をじっと睨んだまま動かずにいます。そそ姿に孤高を感じたりもしています)
政治家は選挙がやはり命にてオネガイシマスをただ繰り返す
(衆院補選、市議選とこれから騒がしくなりそうです)
かやつり草刈れば林檎の匂いした 故郷の道きみはつぶやく
(かやつり草といえば、苑 翠子さんの「バヴァリアの狂王にかよふ奢侈を生く蚊屋吊草の蚊屋吊りながら」という、歌を思い出します)
マザコンでおたく的なる男いて春のゆくえも知らずたれこむ
(下の句は兼好法師を拝借しました。もし、この男が息子なら困るし、亭主ならもっとたいへんですが)
大丈夫きっと良くなる わがついた嘘をきみは見抜いていたか
(もうすぐ、友人の三回忌が巡ってきます。彼女の手作りのカップで毎日コーヒーを飲んでいます)
逆上がり懸垂うまくゆかなくて小学校の苦き思いは
(もちろん、駈っこもダメでした。でも良い先生に恵まれて、今年も年賀状をいただきました)
きみのため一所懸命とってきた目玉と翅を失くせしとんぼ
(とんぼの王様はなんと言ってもギンヤンマ。三浦半島の漁村では、夏の夕方、海から陸地へ戻ってくるギンヤンマの姿が見られた、という話を聞きました。今から何十年も前のことでしょうか)
母乳足らず牛乳も無く山羊の乳わけて貰いし弟なりき
(母乳や牛乳でなく山羊の乳で育ったのが、兄弟中でいちばん体格が良くなりました)
初島田結い上げし日の喜びを昨日のごとく母は語りぬ
(こどもの頃、近所に三味線の上手な老女がいました。日本髪を結い過ぎたためか、かもじ禿げが出来ていました)
拷問台より解放されし気分にて胃のレントゲン検査終了
(今年も胃がん検診の葉書がきました。レントゲンだけで済めばいいのですが、胃カメラまでゆくと、大袈裟ですが、まるで拷問です)
週刊誌二冊読み終え美容室の春の日差しにしばし微睡む
(美容室へ行って髪型が変わっても、夫は気づいてくれない、という嘆きをよく聞きます。うちも勿論そうですが)
点滅の信号のみの交差点みんなそこ退け戦車が通る
(発光ダイオードというのでしょうか。信号の色が鮮やかになりました。店頭で見るパソコンやテレビの画面もプラズマとか液晶で透き通るような美しさです。でもあまりに明るすぎて深みがたりなのでは、と思ったりします)
わが家の天井裏にも住んでます雨音好きなフルヤノモリが
(このところ、雨のあと強風という天候が続いています。TX線は徐行運転で、乗り換えた私鉄は架線にビニールが巻きついたとかで、途中停車。散々な一日でした)
もう穿かないスカートなどを吊るしおくクローゼットにも春風とおす
(ダイエットしてウエストがもう少し細くなったら穿けるのでは、と空しい期待をしながら、捨てられずにいます)
血圧には薬より散歩と言いくれし老医師逝きて廃院となる
(春めいてきたのは嬉しいのですが、鼻がむずむず、目が痒くなって、医者に行ったほうがいいかな、と考えています)
立山のせせらぎひとつ海までを降り降りて魚はぐくむ
(もうすぐ4月。せせらぎに跳ねる若鮎のような新入生、新入社員。懐かしくも羨ましい光景です)
われのみに打ち明けられし秘密とか思っていたが皆な知ってた
(クリスティが好きでよく読んでいました。「バクダッドの秘密」「チムニーズ館の秘密」などの冒険物がとくに好きです)
友人丹精のカトレアです。来年、株分けしたのをいただくのが楽しみです。
同姓の多き村なり墓石に桶屋鍛冶屋と家業刻まれ
(家業でなく屋号のほうが良かったかな、と思います。桶屋や鍛冶屋もかつての家業で、こどもたちは誰も跡を継がず、都会に出てゆきました)
命名は金子光晴そのむかし母愛用のクリームはモンココ
(こどもの頃、モンココって変な名前だと思っていました。金子光晴と関係がある、と知ったの母が亡くなった後でした)
するめなど炙り噛みいるふたりなりただ黙々とテレビを見つつ
(うちはあいにく下戸で、渋茶を啜りつつもぐもぐやっています)
湯を張ったはずの風呂桶からっぽに今日の運勢やはり最悪
(水栓をして蓋を閉めれば、後はお任せの風呂ですが、時々こういう失敗が)
みちのくの三大桜見にゆかんわれらの都合で花は咲かぬが
(今年の桜はどうでしょうか。開花が早いという予報もあり、旅の日程に迷っています)
皮張りの大きな椅子に背もたれてわれと異なる寝息ききおり
(江戸川乱歩「人間椅子」?)
子を思う心の闇とわかってもまたも親バカ曝けだしてる
(源氏物語にも引用されているという、藤原兼輔の「人の親の心はやみにあらねども子を思う道にまどひぬるかな」から拝借しました。オヤバカがそのうちジジバカに……)
仰向けになって手足を揺ら揺らとゴキブリ体操今日も健やか
(近くの公民館で、体操を十数年やっています。痩せたいの目標が、いまは寝たきり防止になって、複雑な心境です)
夕闇の迫る駅前駐輪場わが自転車のゆくえ知らずも
(題名を書き忘れてしまいました。投稿ルールを慌てて読み返して、再投稿。朝から冷や汗です。間違えないようこれからも気をつけなくては、と言いながら……。ところでわがママチャリは(花物語)さんのお歌のように、しかたなくどこかの町を走り続ける、のでしょうか)
並ですかと聞かれ周りをちらと見て小さな声でハイと答える
(天丼の並と上では値段はもちろんですが、器の色、柄が違いますね。極彩色の丼に特大の海老がどんと乗って、みるからに食欲をそそられます。と、言ってもこれ以上体重を増やしたくないし、さらに懐具合もありますので)
柳刃に出刃と牛刀パティナイフわがキッチンにしずかに眠る
(去年4月、キッチンの窓の向こうはいちめんの菜の花畑でした。今は家がびっしり建って、窓を開けるのもままならない状況です)
水茎の跡うつくしき手紙にて氷のような言葉がならぶ
(お題から斎藤 史の「白い手紙がとどいて明日は春となるうすいがらすも磨いて待たう」という歌を思い出しました。今日もまだまだ寒そうです)
指なめて頁をめくる癖あると知りてよりいつか疎みだしたり
(無くて七癖。私にもきっと嫌がられる癖が)
ブログからブログへ通う風ならん弥生三月わが歌はじめ
(あとから考えたらこの歌失敗でした。弥生も三月も同じことを言っているのでした。今年は最初から躓いています)
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