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雪の朝



 
「予報、当ったわね……」
 いつもどおり、七時過ぎに起きだしたババ
が、庭の雪を見ながら、のたまう。
「早く、飯の支度をしろよ」  
 炬燵にそのまま座り込んだババをせかす。
 オレは六時前に起きて、玄関前と道路の雪
かきも済ませたのだ。
「イギリスで暮らしてた、友だちが言ってた
けど」
 ババは炬燵から出る気配はない。
「向こうの奥さん、朝はコーヒー用のお湯を
沸かすだけだって」
 何を言ってるのか。うちだって、電気釜や
電気ポットじゃないか。お袋なんか一番早起
きで、竈で飯を炊いて……。うーん、あの頃
の飯は美味かったなあ。
「今日、句会なのよ。あれこれ考えていたら、
寝付けなくて」
 ババの言い訳はいつも同じだ。
「初雪や 犬の足跡 ふたつみつ」
 指を折りながら、ババはつぶやく。
「足跡、いっぱい付いてたぞ。今朝もフンが
してあったし」
「初雪や 犬のフンにも 汚されて」
「いい加減にして、味噌汁くらい作れよ」
「けんちん汁、暖め直せばいいのよ。ちょっ
と、ガス点けて」
 ババは分厚い歳時記を広げる。
「俳句に専念できれば、上手く詠めるのにね」
 大きな音がして、窓ガラスが震えた。
「あっ、地震!」
 炬燵からババが飛び出る。
「屋根の雪が落ちたんだ。それより味噌汁煮
つまちゃうぞ」
 ふたたび炬燵にもぐりこもうとしたババの襟首
を、オレは掴んだ。

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