お題べつ好きな歌(044:香)
(田貫 砧)
わが生は香車に似たり後ろには戻れず前に進みて散るのみ
( みずき)
聴香会(ききがうゑ)終へてさざめく人波へ無臭の時間崩れ始めぬ
(ハナ)
長葱の殺気と香気切り刻む 誰も私に詫びなくていい
(中村悦子)
雨の日はたやすく輪郭揺らぐから香月泰男の画集をめくる
( 秋中弥典)
必要のない優しさに包まれておそらくこれは不幸の香り
(ドール)
結界がはってあるごと濃密なダージリンの香が満ちている部屋
(暮夜宴)
ウエハースみたいな香りのあの人を壊さぬようにやさしく抱いた
(常盤義昌)
芳香剤ねっとりと匂ふ寝室にああ嘘くさしユートピアなど
(和良珠子)
封切りのピース一缶ぶちまけて逝ける父への送り香とする
(西橋 美保)
夜光る薔薇なりつよき香をもて虚無への供物のひとつとなせり
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