見えないこと
この頃、見えないことが、多くなったと思
わない? 去年の暮れ、主人が玉突き事故に
巻き込まれたのよ。別に怪我はしなかったけ
れど、修理代が百万円以上かかると、言われ
てね。ところが、車の査定は六十万くらいだ
って。自分の保険を使えばいいけど、こちら
に落ち度はないしねえ。結局、車を買えかえ
ることにしたのよ。
加害者からは何も言ってこないし、保険会
社とは電話のやりとりだけで、承諾書が送ら
れてきて、それにサインして送り返せば、賠
償金を振り込むというのよ。事務的といえば
それまでだけれど。
それから、この間、初めて飛行機に乗った
ときも、タラップを上がるものだ、と思って
いたら違うのね。空港ビルの二階から通路づ
たいに、そのまま機内に入るのね。スーパー
シートとかで、後ろの方は仕切られていて、
全然見えないし、だいいち、自分の乗ってい
る、飛行機の形すら見えなかったのよ。
えっ、見えないほうが良いこともあるって。
そうかもしれないわ。テレビを付けても、
新聞を開いても、嫌なことばかりでしょ。で
もそういうニュース、すぐ忘れちゃうのよ。
老眼で世の中、霞んできたのかしら。ただ
見たいものがひとつだけあるのよ。
孫の顔? 息子しだいであきらめ半分かな。
一昨日は仲秋の名月だったわね。お団子と
か、ススキとかお月見の用意はしなかったけ
れど、雲も無く月が綺麗に見えたわ。
わが家の周りもねえ、雑木林が開発されて、
新しい家がつぎつぎ建ってきたのよ。コンビ
ニ、露天風呂、百円ショップが出来て、そう
そう、フットサルの練習場まで出来たのよ。
深夜まで明るく、賑やかなのに、ご近所の
人の顔、だんだん判らなくなってきたの。
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