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判官びいき




「まったく、頼朝ってひどいヤツだよ」
 若宮大路の段葛を歩きながら、英四郎は妻
の喜久子に話かける。
「だいたい、最初の戦さで負けてから、ずっ
と鎌倉にいただけじゃないか」
 また、夫のいつもの愚痴がはじまった、と
思いながら、喜久子は反論する。
「兄弟が仲違いするのは、源氏だけじゃない
でしょ。大奥ってドラマでも、家光は弟を殺
したんでしょ」
「あれとは立場が違うよ。なにしろ義経の功
績はたいしたものだよ」
「義経が訴状を書いた腰越の満福寺。墓地の
分譲とか、水子供養とかの幟がいっぱい立っ
ていて、少しがっかりしたわ」
「きみは長女だから、末っ子の気持ちが判ら
ないんだよ」
 英四郎は足を速めて、三ノ鳥居をくぐり、
八幡宮の境内へ入った。石段の左手に大銀杏
が聳えている。
「結局、源氏は三代で滅びちゃったんでしょ。
北条氏の思う壷ね」
「兄貴も嫁さんの実家に頭が上がらなかった
からな」
 英四郎はつぶやくように言う。喜久子はバ
ッグから、ガイドブックを取り出して、英四
郎に言った。
「ねえ、ここ見て」
 英四郎はそのページを読んだ。
(義経の首が鎌倉に着いたとき、頼朝は間違
いなし、という報告を聞いただけで、その首
を見ようともしなかった)
「頼朝は怖かったのかしら。それとも辛かっ
たのかしら」
「兄貴もなあ、最後の見舞いに行ったとき、
済まなそうな顔をしていたな」

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ババの短説」カテゴリの記事

コメント

兄弟は他人の始まりって言いますけど、殺し合う事件も随分ありますよね。私は兄3人、姉3人、妹1人の7番目。立場が違うと言い分も随分違うと実感することはしばしばでした。本当に憎みあうことはありませんがね。

コメントありがとうございます。夫は八人兄弟の末っ子で、一番上とは親子ほど歳が違っていました。その兄、姉たちもつぎつぎ亡くなり、複雑な心境のようです。私は兄弟が少ないので、多い人をみると羨ましくなることもあります。

TBさせていただきました。
何度、拝読しても面白い作品ですね。
本当に頼朝ってば、ずっと鎌倉に居ただけなんですか! うーん……。
私は珍しくも四人兄弟なのですが(田舎でも珍しい方だったのです。一人っ子も少なかったけど)、「兄弟は他人の始まり」というのも頷けるし、それでもやはり居てくれたら有り難い存在ですよね。
兄弟で絶縁してる知人が居るのですが、死ぬまぎわに後悔しないのかなあ……。

トラックバックありがとうございます。先日念願の鞍馬寺へ行ってきました。それを題材の短説が書ければと思っています。

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