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ツネ子



「おばあちゃんでしよう。またトイレ流さな
かったの」
 おかあさんがなんか騒いでいる。わたしお
ばあちゃんじゃないのに。縁側でおはじきを
していた、ツネ子は振り向いた。
 おかあさん、この頃おばあちゃんに文句ば
かり言ってる。どうしたのかしら。
 昨日の夕食の時も、おかあさんは、
「そんなに頬張っちゃだめ」とか、
「ほらほらこぼさないで、蛸はおばあちゃん
に噛めないから」とか、煩かった。
 おとうさんは黙ってビールを飲みながら、
その蛸の足を食べている。
 ツネ子も、マリ子やノボルが美味しそうに
食べているハンバーグより、蛸のほうが好き
だった。けれど、おばあちゃんと一緒に蛸を
やめておこう、と箸をおいた。
 日当りの良い縁側で、うつらうつらしなが
らツネ子は昨夜の続きを考える。
 夕飯の後、おかあさんはマリ子とノボルに、
「テレビ見てないで、早く宿題やりなさい」
 と、言っていた。それでツネ子が、
「わたしは宿題しなくていの」
 と、聞いたら、おとうさんと顔を見合わせ
て黙ってしまう。
「おばあちゃん」「マリ子、ノボル」
 おかあさんは一日に何回も呼ぶけれど、
「ツネ子」って一度も呼んでくれない。もし
かしたら、本当のおかあさんじゃないのかも。
 ツネ子のおかあさんなら、髪を縮らせたり、
男のようなズボンをはかない。
 そして、おとうさんはいつわたしのおとう
さんになったのかしら。ノボルみたいにラン
ドセルを背負って「ただいま」と帰ってきた
のを、はっきり覚えているのに 

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ババの短説」カテゴリの記事

コメント

何度、拝読しても、この作品には裏寂しさがありますね。「カトレア日記」さんはお気に入りに登録させてもらいました。また来ます。

綾部楽園様
コメントありがとうございました。「ツネ子」を書いてから9年経ちました。綾部さんがびっしり書いてくれた座会要約を読み返しています。その時は何気なく受け取っていましたが、いま読むととすごい力作です。いつでもいらしてください。きびしいコメント大歓迎です。

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