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カトレア





 目が覚めたのは7時過ぎだった。隣のベ
ッドはもう空っぽ。夫はカトレアが気がかり
で、早起きなのだ。
 パッション、スカーレット、ゴールデンガ
ールなど、さまざまな交配種の花々。カトレ
アは定年後の夫の趣味だ。
 トーストにハムエッグとフルーツジュース
の朝食を整え、温室にいる夫を呼びにゆく。
 老眼鏡を掛けた夫は、カトレアについたカイ
ガラムシを退治していた。
 カイガラムシに喰われたところから、ウイ
ルスに感染して葉っぱが枯れてしまう。開花
直前のものが多いだけに、夫は葉の裏まで丹
念に見ている。
「カトレアって象徴的な花よね」
 食後のコーヒーを飲みながら、夫に言う。
「メイプル・ソープの撮った、カトレアの写真
を見たことがあるわ」
「ああ、エイズで死んだ写真家か。日本では
公開できない作品もあるんだろ」
 夫は花のカタログから目を離さずに答える。
「これは、ビロード状で暗赤色のリップが魅力
的だってさ」
「ちょっと、品がない花ね」
 食器を流しに運び、洗いはじめる。夫はまだ
カタログを見つめている。
 鋏を手に温室のドアを開ける自分を想像
した。洗い物の手を止め夫に聞いてみる。
「ねえ、もし誰かが蕾を全部切りとったら、
あなた、どうする?」
「別にどうもしないよ。来年また新しい花が
咲くのを待つよ」
 夫は椅子から立ちあがり、温室に戻ってい
った。わたしは夫が置いていったカタログを
開く。育て方さえ誤らなければ、カトレアの
寿命は60年以上ある、と書かれていた。
 

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ババの短説」カテゴリの記事

コメント

ついにやりましね。これがもっとも理想的な短説発表方法の一つだと思います。
ジジさんババさん、お互い角が立つといけませんから、アップする時には、20字詰めにしておくことをお勧めします。
相手から「何、これ!」と言われた時に、「これは文学作品であって、つまりフィクションさ」と、言えるように。
また、遊びにきます。ワクワク。

 カトレアさん、ついにブログ開設おめでとうございます!
 妙なところで改行されていますので、(ブラウザのフォント・サイズを大きくしてみると分かります)、やっぱりいっそうのこと20字詰めで改行した方がいいかもしれません。
 僕も「ココログ」を使っていますので、分からないことがあったら何なりと。
 今後の展開を楽しみにしています。

五十嵐様 西山様
早速のコメントありがとうございました。改行の件ですが、最初20字にしたのですが、空白が多すぎる気がして、35字にしてみました。やはり短説の形をとって20字に改めます。これからもアドバイスよろしくお願いします。

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